【サマーウォーズ】の細田守最新作【竜とそばかすの姫】を観て来ました。
表現が凄かったし、題材が面白かったです。
が、めっちゃモヤモヤしたままなので書き記します。
※読んだ方が偏見な目で観る事になったり、ネタバレで嫌な思いをされても困りますので、未視聴だったり他人の感想を読みたくない方はブラウザバックをお願いします。
本作は監督が30年程前にディズニー映画の【美女と野獣】に感動してそこからアイデアを練って作り出された作品だとTVのインタビューでも話されておりました。
中盤辺りから、この要素が強まるので知らずに観ると『おや?』と思うかもしれませんが、リスペクトされている事は大きく報じられているので問題ないでしょう。
そもそもヒロインのネット世界の名前が同じですしね。
【サマーウォーズ】から12年後の世界とありましたが、ネット世界がOZ→Uになったくらいで前作キャラが出しゃばる様な所もありません。
が、【サマーウォーズ】を観ていた方がネットの世界が理解し易く、あちらの作品を先に世に出したからこそ、本作が評価され易くなったのは間違いありません。
現代のネット社会、今の時代だからこそ、劇場映画に出来た作品。
それが【竜とそばかすの姫】です。
引っ込み思案な主人公がネット世界では歌姫…というのはCMを見た方でしたら大体イメージが付いているのではないでしょうか。
対比的に友人のヒロちゃんはズバズバモノを話す子でドツボなキャラでした。
ビバ眼鏡っ子!
(さてはて、ここからは本格的にネタバレも含んでしまうので戻るなら今ですよ)
・気になった点1
主人公の幼馴染の男の子
かなりの重要人物なのですが、終盤近くまでイマイチ絡みが薄い。
スポーツが出来る高身長で女子の人気も高いらしい…のだけど、主人公が彼を好きな理由が6歳の時に「守ってやる」みたいな事を言われたという描写以外に殆ど出て来ない。
お母さんのごとく心配、気にかけてる様なシーンが入るけど、会話として成立しなさ過ぎて辛い。
主人公を気に掛けていたからこそ気付けたとか、後押し出来たみたいな事にしたいのだろうけど、描写が足りなさ過ぎて唐突な出しゃばりっぷりで納得がいかなかった。
ミスリードを誘う為に登場を控えたのかもしれないけど、もっと具体的に会話するなり助けるシーンを伏線として入れて欲しかった。
主人公への接し方など、ワザと父親に似せているのかな?
父親に似た人を好きになる的な…
イイヤツなのは分かったけど、劇中終始モヤっとしたキャラでした。
友人たちは魅力を感じるシーンがあっただけに、余計にモヤっとしました。
・気になった点2
血については触れないの??
某シーンで明らかに印象的に血が流れる箇所があるのですが、血を流した人に対してノータッチで話を進めるのがとてもモヤっとしました。
特にリアルっぽさを重視してるシーンだけに「どうしてココは誰もツッコまないの?」ってなってしまいました。
それだけで急に人間っぽくないなって思っちゃったんです。
それまで物語の世界に浸っていたのに、急に嘘っぽく感じてしまった。
現実世界側の人間の反応がこれは流石に嫌だ。
ネット社会になったからって、現実の人間の血に反応出来なくなる世界はどうだろう。
・気になった点3
解決してない
上2点のツッコミからも分かる通り、話のスケールに対して上映時間が足りていないようでした。
これ以上長くても飽きてしまうし、全てを救ったり何でもかんでもやっていたら間延びするし、王道を目指すものでもないのでコレがこの作品だと言われたら、そうなのでしょうが。
もっと描写が欲しい所が多く、逆に事件の合間に伏線引っ張り過ぎて中だるみに感じてしまう部分もありました。
そしてEDまで観た感想が「あれ、これ解決して無くない…??」でした。
歌のシーンは厳しいかもしれませんが、コミカライズでゆっくり丁寧にキャラクターを描いたり、ED後の後日談を数ページで良いので描かれた物を読んでみたいです。
その際は幼馴染の描写や、おば様たちの活躍も増えていると良いな…なんて思ったり。
(毎回、角川さんから漫画は出ているので今作も出る事でしょう)
捕捉しますと唯一無二の大作です。
ウルッと来るシーンも多く、アニメだからこそ出来た、感じれた仮想世界の表現や歌のシーン等の良さも幾つもありました。
背景の美しさ、鳥が川辺を飛んでるシーンに主人公の心情の変化が行動や姿勢に現れる所、告白シーンなど見所や面白かった所も多いです。
題材も面白く、ネット社会の問題点からも目を背けずに挑んでいたりと意欲的でかなりの力作です。
私的にはヒロちゃんのキャラだけでも観て良かったと思っております。
今の時代だからこそ、1度は観て置いた方が良い作品です。