諸君、私は映画が好きだ。
…と言っても月に何十本も観たり、観るなら字幕だろうみたいな拘りがあったりする訳でも無い。
私にとって映画の良い所は2時間(90分)程度の時間の制約の中で、キッチリ収めて満足させてくれる所にある。
これが市販のTVゲームだと先ず収まらず、続き物のドラマやアニメ、漫画では言わずもがな。
短編とも違う密度と迫力、クオリティのある劇場映画作品。
そこに魅力を感じえずにはいられないのだ。
…ん?
そんな話はどうでもいいから、タイトルの可愛いツインテールの子の話をしろって?
確かに、CMの映像だけ観ていたら
この映画の見所はそこにあると思ってしまうかもしれません。
なんなら、スタイルの良い金髪の美人のお姉さんや黒髪の純粋そうなヒロインらしき少女に目を奪われた方もいる事でしょう。
騙されてはいけません。
いや、確かに冒頭こそは、それらを推していた節もありますが、シナリオはガッツリ『映画製作部分』に枠が取られています。
前半のポンポさんは存在感があって、登場する度に名前をアピールし、しぐさやポーズも凝っていて『主演女優』の魅力を引き出す事の大切さを語って来ます。
確かにそこに嘘はありません。
でもポイントは…少なくともこの劇場版では
ポンポさんを含めた可愛い子達の感動物語といったものでは無く、『映画製作』における拘りの部分がふんだんに、それでいて上映時間との兼ね合いで見せる部分を選択されて作り込まれていた事…そして、あくまでも主役は別にいるという事です。
ここを意図してやっていたのが本当に上手で素晴らしかった。
劇中で凄い奴だと見せるだけでなく、本当にこの映画自体が凄い作品なんだぞと見せて来たのが格好良かったです。
予告ではノーマークだった大塚明夫さんの演技(ここはワザとPVから外していると推測します)や脇を固めるスタッフやエキストラの動きやしぐさ等は、アニメというより実写の洋画を観ているかのような拘りのある作りになっていました。
他にもアニメーション映画というより、洋画を思わせる様なカメラワークであったり、
ファンシーめな可愛いメインキャラに対してパソコンや機材などはリアルに細かく描写されていたり、スタッフの絵柄や性格なんかは日本人が好む洋画のそれっぽさ…
洋モノの映画を好きな日本人スタッフがそれぞれ拘って作りましたって感じが凄く出てました。
だもんで、観ながら『この映画を実写で観たい』と思ってしまう事がしばしばありました。(勿論、アニメだからの魅力の部分もありましたが)
専門的な話が織り交ぜられていく感じは『バクマン』の実写映画を楽しめた方なら、こちらも楽しめるのではないでしょうか。
ストーリーは全く違いますが、『創作』を題材にしていたり、切り込んで行く所は近しい物を感じました。
作中言霊の様に飛び交う映画製作の思想や、映像で見せられたテクニックなど、ゲーム制作でも取り入れたいと思える箇所も多く、一方で一度見ただけでそれらを吸収しきるのは難しい。
故に再度観たい気持ちもあるのですが、しばらく観たい映画のラッシュ&同じ映画を何度も観るというのが自分の中には無かった為に戸惑いもあります。
しかしながら、作品の仕掛けを含め、映画好きな人が劇場で見る事を前提に作られた映画であった事が分かっただけでも観に行ったかいがありました。
ちょいネタバレの部分もありましたが、そんなもんは作品の些細な一部でしかないのでご安心を。
創作が好きな方に是非劇場で見て頂きたい作品です。