今宵語るは ファンタジー世界の冒険譚が一つ
大小の島々からなる地で奏でられし 精霊と冒険者たちの物語だ
中心に輝くは二つの光
その振る舞い道化のごとく、しかし放つ魔法は一級品
『記憶を失いし魔法使いの ル、ロ』
その者の傍らに、この人あり
『美しく強き 女戦士の セラ』
珍妙なメロディーを発しながら駆ける二つの光が辿り着く先は
世界を闇に包まんとする魔王の島か
はたまた世界を消し去るほどの眩い太陽か
さあ、さあ どっちだ? どっちだ?
考えるだけ時間の無駄だよ、お客さん
答えは
この【セラとうつろな魔法使い】の冒険譚のラストに置いて来た
…お? 1Gくれるのかい?
そいつはマルゲリータ♪
だがね、物語には順番ってモンがあるんだよ?
オイラが この冒険譚の結末を今宵語るとは限らねえってわけさ
…ああ、待て待て!
オイラがおっちんじまったら、お前さん
名作を一つ失ったまま 余生を送る事になるんだぞ?
物騒なモノは引っ込めて…ガバス!?
分かった 分かった!
それじゃ、オイラが『奴』と出会った日の事から話そうじゃないか…
ヒシグリメロさんの【セラとうつろな魔法使い】をプレイしました。
EDまで5時間20分ほど。
ラスボス戦時、ルロLV15、他LV12
シャタパーサの冒険者たちによる冒険譚。
主人公はセラではなく『うつろな魔法使い』こと記憶喪失の魔法使い『ル、ロ』
そうです。【ゼルダの伝説】的なアレです。
セラさんは相棒の女戦士さんの方でした。
どちらもタイトルに居るから厳密にはちと違いますけどね。
このル、ロさん
見た目はエルフの青年グラなんですが、一癖も二癖もある変人。
記憶喪失の中、覚えていたのが『ル、ロ』という言葉だったという理由で名前も『ルロ』ではなく、『ル、ロ』を譲らない。
怖いもの知らずで、誰にでも臆さずに、その奇人ぷりな会話を貫き通します。
根が真面目なセラさんはというと、そんな彼を時に制止、時に巻き込まれながら冒険者家業をこなして行きます。
そんな二人の珍道中の渦は他のギルドメンバーを巻き込みながら、やがて大きな事件へと発展して行くのでした。
こちらの作品ですが、レベルとプレイ時間を見てお分かりのように
雑魚敵を倒してサクサク上がるタイプの物ではなく、ボス自体もそこまで鍛えなくてもセラさんの攻撃やル、ロの攻撃魔法で突破が可能。
お金も戦闘というよりは、宝箱やクエストをこなしてまとまった額を得る形でした。
冒険者は基本貧乏で、依頼をこなす事で生計を立てているという感じが、昔ソードワールドのテーブルトークRPGをやっていた感覚に似てますかね。
PTも冒険に応じて加入と脱退が激しいのですが、そこも冒険者らしいというか、そういうのが好きな方にオススメです。
その辺りのゲームバランスに気付けるかどうかで、攻略難度に差が出るように思いました。
特に序盤は装備を整えてもル、ロが攻撃を集中で受けるとすぐダウンするので、育成を何処まで行うのかは悩み所かもしれません。
反して、二人の火力が高めなので連戦で魔法を使っても息切れしない所までくれば、雑魚戦で苦戦する事は殆どなくなると思います。
お金をまとめて得る機会は限られているので、何を買うかは悩み所。
ただ、上記の様に詰まないバランスになっているので、プレイヤーさんが思うように好きに買い揃えていっても大丈夫な設計でした。
さてはて、この作品の一番の魅力はなんといっても主人公のル、ロさんである。
「ハッハッハッ そうだろう そうだろう!」
「いやいや、一番の魅力は美しいセラさんだろう!」
彼ならどちらも言いそうだから困る。
数々のフェス作品をやって来たつもりの私ですが、彼ほどすっ呆けていてド真面目で変人なエルフの青年グラの人物にはあった事がない…多分ない。無かった気がする。
ざぶとんさんや、あわやまたなさん辺りがやりそうな気はしますが、ド真面目とはならないからやっぱりありませんね。(←失礼)
というか二人ならメガテンで言う所のLIGHT・CHAOS属性。
ル、ロはなんやかんやでLIGHT属性な気がします。
…あ、これ分かる人だけに伝わればいい奴です。
話を戻しますね。
つかみどころの難しいキャラというのはそれだけで創作目線では魅力的なのですけど、彼には筋の通った所があって、その一つが相棒のセラさんに対する思いなんです。
思えば、最初から最後まで貫き通していたなあ。偉い。
対してプレイヤーからすると、最初はセラさん同様に『変な奴とPTを組んでしまった…』状態だったのですが、旅を一緒に続ける内に……と、見事に評価が変わって行く辺り凄く上手な作りだと思いました。
なんなら途中、アレがああなって寂しくなる所とか大分シンクロしてましたし、印象逆転主人公とは久々に…あ、でも変人なのは変わらないか。
そんな魅力あるルロとセラさんや冒険者たちの冒険譚。
大いに楽しませて頂きました!
さあ、諸君 次に語る者はいないか?
旨い肴は幾つあっても困るものではないぞ